1.「一応就業規則」になっていませんか

就業規則について、事業主の皆さんはどのようにお考えでしょうか。

・一応、あれば良い
・一応、定期的に見直しをしていれば良い
・一応、従業員に周知していれば良い

といったところでは、ないでしょうか。
実際、就業規則はありますかとの問いに「一応、あります。」と答えていませんでしょうか。
就業規則の定義として「一応」という位置づけになっていたりすることが、非常に多いのです。

ですが、もし、社の規則がこの「一応就業規則」だった場合、社内に不祥事があると、一気に窮地に立たされます。
それは、会社としてどのような対応できるかについては、就業規則に書いてあるためです。
もっと言いますと、「就業規則に書かれていなければ、具体的な対応が取れない。」のです。

2.懲戒規定について

例えば、社員が悪いことをしました。
「取りあえず今回は始末書で。」
となったとします。
しかし、それすらも就業規則に明記されていなければ、当人から提出を拒否された場合、対抗できないのです。
懲戒規定の軽い方から一番目か二番目に「けん責」があるかどうか。
更には、処分内容に「始末書を提出させ・・・」と明記されているかどうかを確認しましょう。
中には「始末書なんて軽いでしょう。」とおっしゃる方がいますが、そんなことはありません。
実は、懲戒規定の中で最も重要な処分が「けん責」なのです。
なぜ、それほど大切なのか、少し考えてみましょう。
始末書を本人が書くということは、第一に「自分が悪いことをした」という前提があります。
本人自ら、「具体的にこのような悪いことをしました。申し訳ありません。今後はこのようなことは二度としません。」という内容を書くわけです。
ここで、「自分が悪いことをした。」という自供を得ていることになります。
これに付随して、更に重い処分をしたときの布石になるのです。
いかに重要なのかをお分かりいただけたでしょうか。

また、同じく懲戒規定が「懲戒解雇とそれ以外」に分かれていないかも確認しましょう。
行為によって懲戒処分の軽重を分けてしまっている就業規則をしばしばお見受けしますが、悪いことをする人は1件のみとは限りません。
もちろん、「許して下せぇ。出来心だったんです。」ということも、あるかもしれませんが、刑事的経験から言いますと、一度有ることは三度あります。
塵も積もれば山となります。
処分対象となるような行為は、一度しかしないという人ばかりではありません。
比較的軽い不祥事でも、度々、再三、頻繁に繰り返されたらどうでしょうか。
懲戒処分を重い物と軽い物に分けると、矛盾が出てしまうといいますのは、このような理由からなのです。
以上のように、懲戒規定一つ取っても、重要なポイントが多数あります。
今一度、自社の就業規則を確認しましょう。

3.就業規則の変更

就業規則を後から厳しく変更することは、不利益変更とみなされる可能性があります。
不利益変更に「相当な理由なし」とされると、その部分について、無効とされるおそれがあるのです。
加えて、事が起きてから対処しようと新たに規定しても、過去にさかのぼって適用はできません。
やはり、普段からの備えが必要です。

4.働き方改革の影響

現在、働き方、休み方改革が世間を騒がせています。
パワハラ問題や、未払い残業、年次有給休暇の取得などについても、関心が高まっています。
インターネットで少し検索しただけで、その賑わいぶりは明らかです。
このような問題の矢面に立たされるのが「就業規則」なのです。
その就業規則がもし、「一応就業規則」だったら、結果は歴然ですね。
近い将来の問題に備える準備を、この機会に検討しましょう。